2020年3月21日土曜日

リモート

勤務校は、先週の月曜日を休講にし、火曜日からすべての授業をオンラインで行うことに切り替えた。まわりを見渡せば、一通り無事に済み、予想したほどの困難や混乱がなかった。まずはいまごろの若者たちが、教えるがわの人間よりはるかにデジタル環境に馴染んでいるところが大きいからだろう。

教える側の人間を観察してみれば、おそらくつぎの四つのグループに分けられるのではなかろうか。まずは、ずいぶん前から積極的にこのような対応の可能性などを試み、じっさいにあれこれのアクションを実行した者たちである。かれらの多くは同僚たちにノウハウを伝えたく思い、これを良い機会に熱心に伝授している。つぎは、これまでの授業などで新技術を導入することにはさすがに躊躇っていたのだが、もともと新しい教え方などへの感性が鋭く、いまの環境の変化が強い押しとなり、敏感に反応し、おそらくあっという間に新機軸が打ち出して周りをびっくりさせることだろう。三番目は、デジタルなどにはもともと非常に馴染まず、いまだに一つひとつの操作を紙にメモを取りながら覚えていこうとする。いまのような状況にはかなり戸惑うが、それでも同じ姿勢ですこしずつこなしていき、やがて大きな可能性に気づくことだろう。最後のグループは、技術の応用などには抵抗があって、しかもいろいろな理由を並べて異議をし、たいていは声が大きい。さいわい自分周辺にはそのような人が存在していない。でも、大きな環境の移行においては、このような立場の声は、一種のバランスを促していることも見逃せない。

対して、公共機関の対応は、力強くてすばやい。勤務校の例でいえば、リモートに切り替えることが決まったあと、さっそくZoomが正規なIT環境に導入された。そのうえ、教え方など全般にわたるような配慮はかなり配られ、成績評価を単に「合/不合格」のみに切り替えることさえ噂されている。

ここまで激動する状況を学生たちがはたしてどう受け止めるのか。どのような新たな交流の形態が生まれてくるのか。これからの高等教育においてどのような発展が現われるのか。恐ろしい疫病は、一方ではまったく思わぬ機運をもたらそうとしているのかもしれない。

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