2011年11月7日月曜日

中国の高速道路にて

祝日を含め、週末にかけて短い帰省をした。ほぼ一年半ぶりに親や親戚の顔を見て、ありがたい数日を過ごした。

中国の変化は激しい。これは風来坊の旅人にとっても、はたまたそこで毎日生活している人々にとっても、まったく同じ感覚なのだ。故郷は間違いなく大都会に属するが、目まぐるしい発展を始めたのはなぜかほかの都市と較べてはるかに遅く、都市建設に明らかな変化が見られるようになったのはわずかここ数年なのだ。だが、その分だけあって、いざ始まると言葉通りに目まぐるしい。いまやマンションでも新築ならどこも20階以上で、かつエレベーターや広々した駐車場が付く。昔の記憶は地名のみで、ランドマークはほとんどすべて消え、コンサートホールなど同じ性格のものが建て替えられたとしても、まったく別物となった。サービス業を中心にその質が格段に高くなり、街角の写真屋さんでさえ社旨や挨拶の合唱で開店を迎える。一方では、普段生活している人々が物価の急激な高騰に戸惑う様子もかなりの場面で切実に見受けられた。

いつもながら違う土地を訪ねると、どうしても印象に刻むような瞬間がいくつ残る。今度の旅の中の一つは、こうだ。五、六車線があって、自転車も走らない高速道路で、中年の男はしっかりした足取りで車の中を潜って道路を横断していた。車の中に乗ってそれを眺めたら、なぜか思いはあの「1Q84」のハイライトの場面と重なる。だが、目の前の男は全身力を抜いて、太極拳でもやっているかのようにこの上なくリラックスした歩き方をしていた。そう遠くはない向こう側にりっぱな陸橋がバックになっていて、なぜかとても象徴的で考えさせれる構図だった。

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