2013年6月16日日曜日

巷の粽

かなり久しぶりに端午の日を中国で過ごした。いつの間にか端午とは国をあげての祝日となっている。今年のそれが水曜日に当たるため、ほとんどの機関や会社などは直前の土、日を出勤日とし、振り替え休日をもって連休を作り出しているという力の入れようである。昔の記憶にはなかったもので、はなはだ感心した。

ラジオとかでは、端午、そしてこれとセットになっている粽のことを繰り返し放送している。たまたまだっただろうけど、二回も耳に入ったのは、独りよがりな、重いアクセントを混じった語り口の学者による解説だった。正直、聞いていても要領が得ない。海外ではまるで新興のスポーツにまでなった感じのドラゴン・ボードのことは、どこでも触れられていない。端午というのは、そこまで説明が必要とされ、難解で理屈っぽいものなのだと、なぜか合点したような印象だった。一方では、粽はたしかに商業ベースのレールに乗り上げたものだった。街角にはまさに言葉通りのさまざまな形や中味の粽が充満し、しかもお土産用のものとなれば、その値段はカナダのそれとまったく変わらないものとなっている。ただ端午の日が過ぎれば、すべての粽はあっさりと店頭から姿を消してしまい、あっぱれなぐらいだった。

130615文字によって記された粽は、かなり古いものに遡るものだろうと漠然と想像して調べてみたら、なんと約750年まえの粽の実物までお墓の中から出土されたものである。しかもほんの20年ほど前の発見にすぎない。味やら歯ごたえやらもう知るはずもないが、写真を見るかぎり、現在のどこかのブランドもの粽の宣伝写真だと言われてもまったく違和感がないぐらい、完全に今風のものなのだ。少なからずに驚いた。

江西德安南宋周氏墓清理简报(『文物』1990年9期)

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