2014年2月8日土曜日

IT教室、そのニ

去年の秋から新学年の始まりにあわせて使用されはじめたIT教室は、いまごろになってささやかな開幕のセレモニーを迎えた。これ自体もかなりお国柄が垣間見られる対応ぶりだが、いずれにしても予算などを許可した行政責任者、熱心に企画した担当者、実際に使ってきている教師、そして校内の記者まで駆けつけてくれて、ユニークな教室の存在をアピールした。

教室の機材配置と言えば、たしかにいまごろの最先端を代表している。キーボード一つ取り上げてみても、キーはそれぞれ独立した液晶モニターのような構成になっていて、英語以外の言語をそのまま写しだしている。かつてはラボのパソコンを更新したら、すべての端末のキーボードにロシア語のステッカーを貼り付ける作業を実際に経験させられただけに、技術の進歩には感無量のところがあった。一方では、技術の限界、あるいは技術の現在進行型もいたるところで見せつけられている。こんなに単純でいて丁寧に用意されたプレゼンでも、思わぬハプニングが付いた。発表担当者が直前まで繰り返し練習したものだが、その練習がアダとなって、実演の途中にパソコンがフリーズしてしまった。司会、発表者、それに技術責任者が三人も集まって緊急対応し、やむなくリブートする数分間を待たせざるをえない現実は、いかにも象徴的だった。結論からいえば、こんな小規模なネットワークでも、インターネット全般のスタンダードな対応で臨んだがために、リソースを無駄にしているという技術的な問題が決定的にあるのだろう。単純な作業を単純にこなせることを要求されるものだが、言語教育、それも複数の言語を日常的に共存しているような環境など、けっきょくはほんの小さな市場に過ぎず、対策などまだまだ待たされることだろう。

考えてみれば膨大な予算を投入しての環境作りだ。その成果といえば、使う人に頼らなければならない。まわりの人々を見れば、ハイテクにかなり疎い教師でも、じつに黙々と、前向きに取り組んでいる。技術に憧れをもつ立場からすれば夢のような話だが、勉強をかさね、余分な時間をかけて根気よく育てていかなければならない。現実でいて、妙なものだ。

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