2014年3月9日日曜日

最先端と教育

20140309叢書「DHjp」は、はやくも第二号が発行された。今度のテーマは、「DHの最先端を知る」と名乗る。しかしながら、編集者が抱いたもう一つのキーワードは、「若者たちへ」というものだった。それにあわせて、北米大学学部教育における専攻分野としてのDHの現状をリポートし、小さいな投稿をした。

レポートの終わりに、去年の暮れに公開されたオバマ大統領のYoutube動画スピーチのことを触れた。ここでもリアルタイムに議論に取り上げた。叢書の刊行が実現されたいま、なにげなくあれこれと読んでいるうちに、つぎの新聞記事が目に飛び込んできた。「プログラミング教育広がる・授業必修化、教室など活況」。しかも日付を見てみると、なんとあのオバマのスピーチよりちょうど一ヶ月前に公表されたものである。まったく同じ動きは日本でも確実に進められているものだと、粗忽ながらもまったく気づかなかった。一方では、ここでも同じような疑問的な立場を繰り返したい。この日本の記事では、責任者の発言としてつぎのようなものがあった。プログラミング教育の狙いは、「紙とクレヨンで絵を描いたように、プログラミングができればパソコンを自己表現の場として活用でき(る)」にある。気むずかしい「ロジック的な発想を育成する」などとしていない分、子供たちの実態に添えていると言えよう。ただ、コードとクレヨンとはまったく異質なものだということを忘れたくない。子供が成人して、クレヨンをペンや筆、ひいてはキーボートに変えることは同じ性質の道具の延長なのだが、コードというのはあくまでも特定のハードやソフトに依存した約束事であり、かつあまりにも完成形にほど遠い。はたしてこれを教育の対象とすることは、どこまで有意義なのだろうか。

「DHjp」第二号はもうすぐ店頭に並べられると思う。Amazonでも、いまだ「予約受付中」として、書籍のカバーも用意されていないのだが、同書の電子バージョンは出版社運営の専門サイトですでに販売されている。今度も編集者の厚意により電子の献本をいただいた。郵送の時間を待たずにさっそく読めたことに、ただただ感激だ。

E-BookGuide:「DHjp No.2 DHの最先端を知る

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