2017年8月5日土曜日

DH2017

「DH(デジタル人文学)」と名乗るかなり大きな学会でのポスター発表は、8日と予定されている。第一作者の永崎さんの好意により、わたしも名前を加えさせていただいているが、実際に関わったのはごく小さな一部分にすぎない。そのため、会場に駆けつけることはなく、遠くから応援することにしている。

具体的な作業は、一年前に行った。デジタル画像データを共有する強力なスタンダードとしてIIIF(International Image Interoperability Framework、国際画像共同利用ネットワーク)が脚光を浴び、高精細画像の閲覧や画像内部についての追加情報のプロトコルがようやく統一が見られるようになった。そこで、文字情報の追加、表示の可能性を探るべく、奈良絵本の変体仮名表記に電子テキストを添え、かつそれぞれ一行ずつの対応関係に関する位置情報を書き出した。「アノテーション」という名の機能をフルに活かしたものである。これに、永崎さんは縦書き表記とマウス移動に合わせてのテキスト表示の機能をビュアーに付け加えた。マウスの移動に合わせて変体仮名に対応するテキストを表示する機能は、だいぶ前、CD-ROMの形で出版した「kanaCLASSIC」(1999年)にすでに試みたものだが、あのころに対して、いまはオンラインの環境でスムーズに実現できて、大きな進歩と言わなければならない。

一方では、画像への電子テキスト情報の追加は、あくまでも手動で実現したのである。これに対して、自動読み取りというまったく異なるアプローチも試みられている(「くずし字OCR」)。マニュアル作業の限界、そして自動化の未来がどのような形で訪れてくるものなのか、大きな関心をもって、慎重に見守りたい。

Digital Humanities 2017 (ポスター要旨

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