2011年5月14日土曜日

中国語語学教育

春学期がようやく始まった静かな大学において、アメリカの研究者を招き入れた交流を週末にかけて行った。ゲストの得意分野は中国語教育。北米で大いに活躍しているとのことで、公私にわたったかなりの会話が出来た。語学教育、大学授業の教育法などとなれば話題が尽きることもなく、あれこれと楽しかった。

これまでのかなり広範囲の経歴などもさることながら、ゲストの方の目下一番の関心事は、どうやらもっぱら本物の学習者の養成と、若い教師を育てることにあるようだ。もともとそちらの職場は、言葉通りの私立貴族カレッジであり、仕事環境も教育理念も学生気質もかなり異なっていて、なかなか簡単に複製することが出来そうにない。でも、それらのことを差し引いても、教育にかける熱気が伝わり、このような話を聞いて、日常の仕事にはやはりよい刺激になるものだ。それから大学という職場に居ながら、初等教育、高校での大学相当科目の設置、運営、審査などに熱心に当たっていることも印象に残った。初等教育となれば、対象が違うだけにアプローチもまったく異なり、そのための発想や対応、極端に言えばそれにかかわる語彙を熟知することから始めなければならないので、とても単なる物好きで取り掛かるわけにはいかない。

ゲストの職場は、同じように日本語やほかの外国語教育の関係者が一堂に集まるものだ。しかも出版の実績などからみれば、それぞれにはかなり似たようなテーマを取り上げていることが分かる。その中で、こちらから何回となく日本語教育と中国語教育のことを持ちかけてぶつけてみたら、つぎのようなコメントが興味深かった。曰く、語学教育において中国語は日本語より10年遅い。でも、アラビア語と比べれば、10年進んでいる。こういう相対的な見方も出来るようなものだ。自分にはなぜか新鮮に映った。

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