電子リソースを見なおして、試しに一つのリンクリストを作成して右に載せた。似たようなリストがいくつか公開されており、しかも自分がそれを作っても随時に更新する自信がとてもないから、これまで決心が付かなかったが、あえて一歩踏み出した。
デジタル資料は、量、質とも日を追うごとに広がり、進んでいる。それはまさにいまの時代ならではのメディアであり、学術研究にとっても確実に大きな部分になっている。それの意味や効用など、いまさら数え上げる必要もない。ここでは、一つの簡単なリストを作成するにあたって、気づいたことを三つほど書き留めておこう。
デジタル資料を公開するためには、それを作成し、その成果を日常的に管理する母体がまず存在しなければならない。いまは、それは主に大学や美術館、公的な研究機関であり、大学なら図書館、美術館なら情報サービス、というような部署がその任に当てられている。いずれも在来の業務内容からの延長で、あえて言えば好意的な付け出しという感じが拭えない。デジタル資料の重要性、必要性がさらに認識されるつぎの世代になって、はじめて構造的な変化が起こってくるだろう。その意味では、多数の資料を持つ別のグループ、とりわけお寺、神社、私立の文庫などの参加は、まさにその次の世代に期待するものである。
数々のリソースは、まずその名前の付け方からにしてまちまちだ。その中で一番多いのは、「データベース」。これは明らかに言葉の誤用、あるいは誤解を誘うものだろう。画像リソースは、「コレクション」「電子ライブラリー」であっても、検索を第一義とするデータベースではなかろう。そもそもデジタル画像を「データ」と定義するためにはあれこれと限定を加えなければならないし、画像を眺めることが出来ても、いろいろな形でサーチを掛けるほど、まだそこまで発達していない。それから、ほとんどどのリソースでも、画像の枚数、規格、作成の時期など、資料としての最小限の情報を提供していない。そのためのスタンダードがあるかどうかは別として、それをある程度の完成をもつ作品だと見る視点が欠けているからではなかろうか。
それぞれの資料作成者の立場により、現在あるリソースは絶え間なく変容を続ける。そのために、資料の使用者からすれば、これらの情報を整理することが余計に必要となってくる。はたしてどのような資料がデジタル化されたのか、デジタルの形でアプローチできるものとして、どのような異なるバージョンが存在しているのか、必要最小限の情報があまりにも不足している。一昔の、索引や文庫蔵書目録を作成するような地味で根気強い作業が必要だが、一つの課題として覚えたい。
自宅のパソコンの前に座っていながら、地球の反対側にあるさまざまな貴重な資料にアクセスする。前には想像も出来なかった環境の有り難さを噛みしめながら、よりよいものに思いを馳せる。そのためにでも、右のささやかなリソースリストをすこしずつ充実させていきたい。
2009年5月9日土曜日
デジタル・リソースを求めて
Labels: マルチメディア
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