2016年10月8日土曜日

名作を読む

三年ぶりに開講する近代文学をテーマとする講義では、読書リストに「藪の中」を加えた。繰り返し読んできた名作だが、その時その時の学生の顔ぶれにより、いつでも新鮮な経験が得られるものだ。今年も例外ではなかった。

クループ分けをしておいて、それぞれ担当の作品について調べてきたことを話してもらうという形を取る。今年の発表では、藪の中に落とされた櫛がクローズアップされて、そこからはなんと黄泉の国でのイザナギとイザナミの様子にまで話が及んだ。「羅生門」以下、縷々作られてきた映画のことも紹介され、短い予告編は程よい材料となった。そこからさらに話題が広がり、新出のビデオゲームの名前が上がり、そのゲームの規模はと訊ねたら迷いなく100時間ぐらいかかるとの答えが戻ってきて、こちらは思わずびっくりした。一方では、この作品の場合、けっして殺人の真相探しに走らないようにと事前に念を押したものだが、その代わりに出てきたのは、女性が夫を庇うために嘘を付いたのではないかとの珍説が説かれて、いささか意表を突かれた。

若い学生たちは、いずれもこの作品についての予備知識がない。しかも歴史や古典について、きわめて限られた知識しか持たない。それでも、真剣に調べたら、それなりにユニークな読み方を展開している。勉強や知識吸収のプロセスは、生き生きとして魅力的だ。

2 件のコメント:

Lawrence Marceau さんのコメント...

楊さん、「藪の中」は、原文で読んでいるのですか。それか英訳で読んでいるのですか。英訳なら、どの訳を浸かっていますか。(私たちも先週「羅生門」・「藪の中」を授業で取り上げましたが、ジェイ・ルビン訳で読みました。)

楊 暁捷 さんのコメント...

はい、わたしたちもジェイ・ルビン氏の訳を使いました。電子図書館に入っていますので、学生たちに図書館のリンクを教えれば訳に辿れますので、技術的にもとても安心して使えました。