2017年4月15日土曜日

日本古典籍総合目録DB

年度終わりに合わせて、一つの小さなプロジェクトを完了させ、最後の作業として数十点の絵巻についての書誌データを整理した。これには、国文学研究資料館が運営している「日本古典籍総合目録DB」がなによりも頼もしい。日進月歩に進化するデジタル情報にまで一部対応しているのだから、一研究者としては、つねに感謝の念を抱いている。一方では、利用すれば不備などにも気づくようになるもので、備忘に三点ほど記しておきたい。

書名などの検索は、リソースの性格上、はやりのあいまい検索には対応していない。ただ、古典書籍の常として、複数の題名で伝わるものが多い。それについて、多くの場合「別書名」や「国書所在」に収録されている書名が対象となっているが、そうではない場合もあって、不安が絶えない(例:「奈与竹物語絵巻」)。

古典籍の存在に止まらず、それの所在まで対象にしているこのデータベースは、したがって所在の変遷が大きな課題になる。書籍媒体なら、読者として自ずから情報への期待が明確になるものだが、デジタルものになると、利用の方針に漠然の揺れが伴う(例:「男衾三郎絵詞」、「結城合戦絵詞」)。なお、国立歴史民俗博物館所蔵のものはなぜか複数の実例において収録されていない。行政組織の近隣性と考えあわせて、首を傾げる。

デジタル情報への対応は、おそらくこれからも日に日に大きな比重を占め、重要な課題となるだろう。公開されているものが対象にならないことなら、いずれそのうち収録されるに違いないという期待から、まだ理解があるのだろう。しかしながら、公開元の変化にどこまで対応するかは、真剣に取り掛かかるべきだ。一例として、筑波大学図書館所蔵の貴重書デジタル公開へのリンクは、いずれも白黒の古いバージョンのものである。高精細画像での公開はすでに三年以上続いていることから考えると、更新の方針など、はっきりしたものにしなければならない。

言うまでもなく、同データベースの母体は、あの『国書総目録』である。学生時代、あるクラスメートがこれを購入したのを聞いて、個人の書斎にこれを持ち込むことの経済的、空間的な余裕を想像して、すっかり驚いた記憶はいまなお鮮明に残っている。古典籍の所在を記す紙媒体特有の洗練された文体は、けっして親切だとは言えないが、その不思議な魅力をいまなお褪せない。

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