2020年1月11日土曜日

中世文書WEB

今週話題になった新たなデジタル資源には、国立歴史民俗博物館が公開した「日本の中世文書WEB」がある。公開の日づけは1月8日、下知状や綸旨、起請文など8点の資料が掲載されている。

このサイトが提供したユニークな機能は、文書の読み上げ機能、説明にある「(略)音声を再生すると、カラオケ式に読んでいる部分の色が変わ」るというものである。平安や中世の古文書は、資料自身の性格から、どうしても狭い専門の分野に属し、普通の読者には近づきがたい。歴史を専攻する学生にとって必須の訓練にはなるが、そこから一歩でも離れた読み手には、なかなか手につかない。古文書をめぐる読み下しの法則、読解の仕方などをテーマにする参考書は、初心者のための入門書から膨大な用例を網羅する辞書まで、数えきれないほど刊行されてはいるが、そのような知識に丁寧に従っていても、いざ声に出して伝えようとすれば、どうしてももどかしくて、心もとない。そういう意味で、音声を伴うサンプル資料の出現のおかげで、中世の文書が大いに身近なものに感じさせてくれた。

このサイトの作成は、企画展示「 日本の中世文書―機能と形と国際比較―」の成果だと説明され、かつ資料の内容も「今後も続々追加予定」と予告されている。一方では、オリジナルに開発されたサイト構築は、一つのプラットフォームとして利用できるようになれば、より広い範囲の資料などが音声とともに紹介されるのではないかと想像している。可能であれば、実現してほしい。

日本の中世文書WEB

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