2020年4月18日土曜日

ランドマーク

写真は、かなりの量に上ると、その整理にいろいろと工夫が要るようになる。ここ数年、あれこれと試して到着したのは、Google Photosの利用である。便利な機能の一つには、写真をアップロードすると、関連の情報が自動的に追加されることがあげられる。そのうち、地名が重要な一部だ。ただ、古い写真や、位置情報なしで撮った写真でも、一部のものに場所の情報がはっきりと貼り付けられたことには、ときどきびっくりした。よく観察してみれば、特徴ある建物が利用されている。

いわゆるランドマーク。これはもともと好きな言葉なのだ。まったく知らない土地などに足を踏み入れると、特定の建物はまさにその土地のマークなので、旅をめぐる最初の実感を与えてくれる。その地で暮らす人々の日常、ときにはかなりの歴史に遡る出来事や伝統などをすべて凝縮し、訪ねる人が思いを託す掛け替えのないものである。一方では、デジタル写真をめぐるいまの経験は、それの逆の展開である。いわば建物は、マークとして用いてその土地を特定し、記憶の空間を確かめさせてくれる手がかりになった。とりわけ一人の個人の遠い昔の、どこまでも定かではない土地にまつわる記憶は、その地名をもとに集まった思いおもいの写真を眺め較べるうちに、その中身を思い起こし、内容を新たにしたものである。

数週間まえから再開したInstagramへの写真投稿は、いまも毎日のように続いている(@xjie.yang)。活動半径が極端に限られたいま、古い写真の整理を始め、学生時代に敢行したヨーロッパの旅を紐解いた。数えたらすでに34年もの年月が経った。そのせいだろうか、自分の顔が画面に出ても妙に公開に抵抗が少なかった。

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