今年の1月30日、「朗読動画『徒然草』」と名乗り、その序段をYouTubeにアップロードした。(「朗読動画『徒然草』」)その後、週三作と公開を続け、去る22日に第243段をあげた。この小さな個人的なプロジェクトは、これで予定通りに完成し、あわせて140段だった。
動画に用いたのは、『なぐさみ草』(松永貞徳、慶安五年、1652)と『つれつれ艸繪抄』(苗村丈伯、元禄四年、1691)。前者は、『つれづれ草』の本格的な注釈書としてはじめて絵を導入し、数えて百五十六段に絵を加えた。後者は「絵による抄(注)」との名の通り、言葉や意味などの解釈など一切なく、本文と絵のみによって構成され、絵のある段は二百九段と数える。絵を含む本文や注釈書はこの外にも伝わるが、絵の数はこの二作に遠く及ばず、この作業の対象としなかった。朗読対象の140段という数字には特別な意味はない。まずは絵からのアプローチなので、絵のない段は対象から外した。朗読動画という体裁からして、極端に長いもの、あるいは短いものも避けた。その結果、動画の長さは平均して1分か2分、特出に長いのは酒を題材にする175段で7分23秒、一番短いのは30秒の序段だった。なお、構図の共通するものは『なぐさみ草』を優先に用い、絵がはるかに豊かになった段は『つれつれ艸繪抄』に頼るという漠然とした基準を立てた。
この朗読動画は、去年続けたGIF動画からの延長だった。注釈絵への注目に加え、さらに文字、音声という二つの要素を取り入れた。音声は自己流の朗読、文字は声に伴って移動させるくずし字だった。この朗読と文字の部分を縦長の動画に作り、さらに注釈絵の上に載せて絵を動かすという、二つのステップに分かれた動画の作り方に気づいて、わりと簡単に作成することができた。
公開した動画にまとめてアクセスするには、特設サイトを設けた。(「朗読動画特設サイト」)公開完了にあわせて、このサイトも更新した。一方では、随時更新していた再生リストも、140作すべてを対象とした。こちらのほうは公開順であり、最初の段がリストの一番後ろにくるというものである。あるいはそれなりの価値もあるだろうと思い、そのまま残しておいた。
0 件のコメント:
コメントを投稿