2022年9月3日土曜日

文豪5N

雑談の中で、「一番最初に購入したパソコンとは」と聞かれ、忘れがたい思い出に繋がった。つい自慢そうにそれを長々と語った。

それは、NECの「文豪5N」だった。パソコンのことを聞かれてワープロを持ち出すのは、誤答と言われてもやむをえないが、80年代の半ばというのは、まさにそのような時代だった。世の中はマッキントッシュで一世風靡したものだが、ただ言語の壁は高く、日本語を扱うことが出来なければ、視野の外に押し出してしまう。日本では、あくまでもワープロだった。そして、自分はその流れに乗せられた消費者の一人だった。「文豪」と名乗ったその機械は、あまりにも先端的で、いろいろな意味で語り草となっている。その証にいまでもCMがYouTubeに記録されている。

それを購入したのは、1985年の春ごろだった。鮮明に記憶に残ったのは、機械が寮の部屋の前に、販売の店員が届けてくれて、そこで熱心に説明をしてくれたことだった。いわく、購入時点の約束と違い、JIS第二水準の漢字を付け加えてあげたという、信じられないことだった。どれだけほっとし、得した気分だったのか。時はまさに修士論文を出した直後の、ほとんど放心状態の中だった。機械の使い方を覚えながら、手書きで提出した論文をワープロに打ち込んだのは最初の挑戦だった。その過程でキーボートの使い方を習得し、ためになる基本技能の一つとなった。写真は、部屋の中に鎮座する5Nの様子だ。たしかに1988年の春ごろまでずっと活躍していたものだった。

さきのCMを見ると、発売は前年の1984年、定価は39.8万円だった。じっさいはたしかに32万円前後払ったと記憶している。若い学生として、よくもそこまで投資したのだと、四十年近く経ったいまでも不思議に思う。ちなみに、思い返せば、そのあと、30万円を超えるパソコンを購入したことは、一度もない。

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