論文集に投稿するため、原稿を作成し、いまはその最終段階に差し掛かっている。文中に使う挿絵を用意しなければならない。白黒の小さなもので、カラーでスキャンしたり、あるいはデジタル公開されたものを切り取ったりして、それをグレーに変換し、その上コントラスを調整するぐらいのことしかできない。それでも、一枚ぐらいはすこし工夫を加え、画面の中での注目してほしい部分を強調しようと考えた。
かつて似たような作業を一度試み、活字論文に発表した。そこでは画像の中の人物だけ切り取り、背景との間に濃淡の差をつけて表現した。ただ、それを同じ分野の研究者に見せたら、「絵巻の画像とはもともとこういうものだと錯覚してしまうような読者まで想定すべきのでは」とのコメントが戻ってきて、少なからずに驚いた。考えてみれば、その通りかもしれない。そこで、今度はもうすこし違う表現の工夫をしようかと思った。画像の一部を切り出して立体的に配置したりしてみたが、今度はむしろ絵巻の画像を見慣れた目にはしっくりこない。結局のところ、濃淡というアプローチをそのままにして、部分ごとに切り出し、その輪郭に大きくぼかしをつけ、さらに交差する部分を示すために白い罫線まで加えることにした。
デジタル画像の加工には、定番のPhotoshopを用いた。やり方は一旦分かったら、もちろん安定して動き、かつ同じ機能の応用はいくらでも考えられる。加工の作業を絶えず繰り返すなら、快適に違いない。ただ、ここで思いついた方法をこの次いつ持ち出すか見当も付かない。その内、やり方をすぐ忘れてしまうだろう。そのようなもどかしい経験を避けるために、きちんとメモを残すことにした。それもメニューに出てくる特殊としか思えない用語とともに、丁寧に作業の順番を書き留めるように心がけた。
0 件のコメント:
コメントを投稿