2016年1月2日土曜日

申と猿

申年が明けました。謹んで新年の挨拶を申し上げます。

申は猿。日本には猿がたくさん棲息しているからだろうか、昔話や絵巻の画面には、猿が頻繁に登場してくる。それは、山や野原で群を成して自由に走りまわることもあれば、人間の生活の場に飼い馴らされた形で顔を覗かせることもある。後者の場合になると、長い鎖に繋がれ、建物の柱に止められたり、あるいは今日のペットと同じく飼い主によって町中に連れ出されたりする。一方では、その猿の登場は、馬とよくペアとなる。中世の馬厩の端っこに、まるでお決まりの風景のように猿が添えられ、そのような画例はほとんど数えきれない。馬と猿とのこの関係性の理由については、かならずしも明らかに説明されていない。魔除けというのがほぼ定説で、ひいては科学的に猿が馬の疫病防止に役立っていたとも推測されている。はたしてその通りだろうか。

新年早々、写真を一枚撮ってみた。中国から持ち帰った、中国風の根付だ。ここでの馬と猿との組み合わせには、しかしながらはっきりした理由がある。すなわち、馬の上を狂ったように自在に飛び回る猿、「馬上瘋(封)猿(候)」という言葉を具現したものだ。いわば官本位という社会での出世願望への祝言的な飾りである。


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