2016年1月9日土曜日

アメリカのデジタル公開


新年早々、伝わってきたニュースの一つには、ニューヨーク・パブリック・ライブラリがデジタル公開をリニューアルした、というものがあった。所蔵をデジタルで公開するという事業をかなり早い時期から取り掛かっている知名な公立図書館、このブログでもじつに十年も近い前に一度はとりあげた。さっそくその公式サイトに入ってみた。確かにいろいろなところで変化が起こっている。一方では、十年のわりにはユーザーをびっくりさせるような変化はそんなにない、というのが率直な感想だった。

あのスペンサーコレクションを擁している図書館であり、日本の古典もかなり入っている。そこで、さっそく「emaki」で調べたら、352件のヒットが戻ってきた。タイトルに纏められたものではなく、あくまでも一枚いちまいの絵が対象となっているので、そこからの不便はどうやらまったく問題とせずになってきた。ヒットされたものに添えた情報には、カタログ情報よりも、まずは永久リンク、ダウンロードリンク、そして商業利用の規則などに関する情報が前面に押し出された。デジタルリソースである以上、デジタルなりの利用をまず想定するという気配りは素晴らしい。中でも、引用規則についての対応は特筆すべきだ。リンクをもって同じページの下部に誘導され、そこにはなんとMLA、Chicagoなど四つもの引用規則に基づく実際の表記が明記されている。学術利用を前提として、研究者には引用をさせたい、それにあたっての利便を提供し、かつ基準を明らかにするということは、これからのデジタルリソースの利用全般において先駆的な作業だと評価したい。

肝心なデジタル画像だが、ダウンロードのリンクを詳しく見れば、300pxと760px、あまりにも小さくて、現実的な使い道があまり考えられないものとともに、一部については、なんと6500 x 4200px(一枚につき80メガ)の精密画像を提供している。精細画像あるなしの基準は不明だ。ただ、このような不統一、不親切さには、おそらくだれも意見をせず、ただただすこしずつの進化を静かに待ち続けることだろう。

The New York Public Library Digital Collections

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