2019年4月6日土曜日

年号のアクセント

過ぎ去った一週間、新しい年号のことは繰り返し話題に上がった。これからの日常生活の一部になるだけに、関心は高い。そして外国語学習者にとって、日本語に接近する格好の手がかりである。その中では、レイワの読み方は興味深い。はたして「昭和」と同じなのか、それとも「分野」のように読むべきだろうか。公式発表の場ではどうやら後者を取った。一方では、この言葉は複合語彙として使われることが圧倒的に多いから、前者として定着するのではないかと想像している。

アクセントのことは、その表記からにして十分に確立していないらしい。思えば日本語を覚えたてのころ、言葉一つひとつには正しい読み方があって、それを言葉への理解などとともに記憶すべきものだと教わった。その記述としては、①型、②型といったものだった。そのような知識は、たしかに専門書や専門の辞典に記され、一部の国語辞書にも採用されている。しかしながら、完全に日本語の基準になるにはほど遠い。そして少なくとも身の回りの教育現場には浸透していなくて、たいていの学生に聞いても、そのような話は知らないと、答えはあっさりだ。

そこで年号のアクセントである。古典から生まれたとはいえ、古典にその答えを求めるのは無理が多い。古典そのものは、読み方のアクセント関連の情報どころか、読み方そのものについてすでにかなりの空白を残している。令の文字はなぜ「りょう」ではないのかとの疑問に対して、常用漢字の読み方には採用されていないからとの答えが意外と要を得ている。一方では、出典として脚光を浴びた令月の「月」はどうだろうか、正月などのように「がつ」とは読めないだろうか。古典は、そこまで現代の言語生活からかけ離れている。年号の誕生はこのことをあらためて浮き彫りにしたとさえ言えよう。

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