2019年9月14日土曜日

大唐玄奘

「大唐玄奘」、これは映画の名前である。なにげなくYouTubeをクリックしてみたら、三年ほどまえに公開されたこれが飛び込んできた。さほど期待を持たないで見はじめたら、意外とはまり、とても印象に残るものとなった。

いまだ時にふれ「玄奘三蔵絵」を開く。数々のハイライトは鎌倉の人々の想像にほかならないと知りつつ、なんとなく玄奘をめぐるイメージはそこに凝縮した。そういう意味では、映画が見せてくれたのは、かなり違う映像だった。一言でいえば、華やかさを数段落とし、理想、空想の世界に対しての、現実的で等身大のビジュアルだ。ストーリーの作り方としても、求法の道を遮る権力者には敵対心がなく、ときどき現れて旅を手伝い、玄奘を師と仰ぐ人々はかえってさまざまな事情を抱えて、一縄にはいかない設定には興味が尽きない。一種のロードムービーと捉えなくもないが、劇的なエピソードよりも対話に深みがあって味わいがある。

ちなみにタイトルにある「大唐」とは、あくまでも敬意をもっての称呼に過ぎず、日本語に直せば「唐の玄奘」ぐらいのニュアンスだ。タイトルの英訳は、あくまでも「Xuan Zang」である。

「大唐玄奘」のトレーラ

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