2019年10月5日土曜日

開かない巻物

ここ数日、古い巻物へのアプローチが話題になり、イギリス、アメリカなどのメディアが一斉に報道した。友人に教わり、関連の記事を読んでみた。スポットライトが当てられたのは、あのポンペイ遺跡から発掘されたパピルス(古代エジプト・ギリシャ・ローマの紙)の文献、そしてそこに書かれた文字を復元・再現するというものである。

これら二千年も前からの巻物は、二百五十年ほど前に発見され、その数は実に千八百点にも及ぶ。ただ、火山灰から掘り出されたもので、いうまでもなくすでに開かない。これまでは、どうやらそれを物理的に開こうとする努力がかなりなされたが、いずれも失敗に終わり、実物が破壊されてしまう破目になった。今度のポイントは二つ、CTスキャンの応用と、コンピューターの自動学習の導入である。医学のCTスキャンの手法を生かして、開かない巻物にダイヤモンド光源を当てる。それから、パピルスに施されたインクの物理的な徴候をコンピューターに覚えさせ、自動的に識別、合成して巻物の内容を再現するものである。いまはこの方法に狙いを定めた段階で、完全なイメージの生成はこれからの作業である。そしてそれが成功すれば、違うグループの学者の手に移り、文字の中身についての解読を任せるとまで発表されている。

以上のようなアプローチの要点を、研究チームはきれいな動画に纏めた。だれにでも分かるような、見ていて楽しいものである。高度な技術の応用を丁寧に解説し、広く共有して社会から関心を呼び起こす、この姿勢も大いに参考になると感じた。

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