「謎」とは、「何ぞ」という言葉からきたのだと言われている。遠く平安時代から貴族や文人たちがそれを楽しんでいた言い伝えやエピソードがあり、中世になると、膨大な数の謎ばかりを集めた記録が出来上がり、その中のいくつかは今日まで伝わっている。中世の人々の発想や遊びの場の雰囲気を想像し、言葉の意味などを理解するうえで参考になるものが多かった。
ここでは、そのような記録の中の一点、「なそたて」に収録されたものを眺めてみよう。その謎とは、「かどのなかの神なり」(No.95)。言葉通りに並べたら、「門の中の神様」といったところだろうか。同じ記録は謎の後ろにその答えをさっそく教えてくれた。それはなんと「からいと」だった。「かど」が真ん中から割れ、その中に「かみなり」、すなわち「雷」をいれると、いまの答えにたどり着く。言葉の音読みと訓読みを入れ替えることで謎解く人にチャレンジを掛けた。この謎を味わいながら、謎の組み立て方もさることながら、あの御伽草子の「唐糸」がここにまで顔を出したことに、いささか驚いた。
ちなみに「徒然草」にも楽しい謎が一つ記された。それは和歌の格好を取っている。「ふたつもじ、牛の角もじ、すぐなもじ、ゆがみもじとぞ、君はおぼゆる」(No.62)。おなじく答えが提示された。「こひしくおもひまゐらせ給ふ」とのこと。さほど洗練されたものとは言い難いが、謎のココロ、お分かりだろうか。
2019年11月23日土曜日
謎かけ「からいと」
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