四コマ漫画の元祖、発見。江戸時代の「徒然草」注釈書の一つ、「つれつれ艸繪抄」の中で頭注の形で描かれた絵がそれだ。刊行は元禄四年(1691)、まさに四コマ漫画の遠祖にほかならない。
描かれたのは、「徒然草」53段、滑稽でいささか可哀そうな話だ。酒宴の上、ウケを狙おうと、とある若い僧は、傍に置いてある鼎を頭の上に持ち上げ、つい首全体をすっぽり被せてしまった。そのまま大いに踊り、まわりから歓声が上がったのが良かったが、終わってみれば、鼎はもう取れない。都に有名な医者がいると聞いて、鼎を片枚で隠し、杖をつき、仲間に手を引いてもらって訪ねてはいたが、手の施しようがなかった。状況がますます深刻になり、結局は適当に藁などを周りに敷いて、無理矢理鼎から首を引っ張り出すことを決行した。飛んだ災難だったが、辛くも一命が止められた。思えばこの無鉄砲な僧には頼もしい友に恵まれたものだ
絵巻、奈良絵本、屏風絵、版本の挿絵、その多くは特定の場面を描くことを基本としていた。そのような凝縮された画面からいま流行の四コマ漫画を作り出そうと思えば、ほぼ限りなくできる。ただここまで今日の読者が期待するほぼすべての要素を持ち合わせた作例は、やはり特筆すべきだ。ちなみに、利用した作品は、国文学研究資料館所蔵のもので、IIIF基準で公開されている。用例のページも次のリンク(16葉オ、ウ)をクリックすれば簡単に見られる。
2019年11月30日土曜日
元祖四コマ
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