2020年8月8日土曜日

ワスレナ草

先週、忘れ草について書いたら、思う以上に多数のコメントをいただいた。花のことを教えてくれる専用アプリ、特設ページをはじめ、個人的な思い出、そして歌謡曲の曲名など、勉強になるものばかりだった。中では、「わすれな草」を二人の方から触れられた。どこか交差するものではないかと気になって、思わずあれこれと調べてみた。

どうやらまったく違う、関係ない草のようだ。ワスレナ草のほうは、花が小さくて、色は青い。しかも、こちらのほうは西洋発のもので、日本に伝わったのは、明治以後になるらしい。花の名前も、ヨーロッパ言語の言い方の「Forget-me-not」を意味通りに日本語に訳されたもので、本家のヨーロッパでは悲恋物語までついているとのこと。一方では、漢字表記は「勿忘草」、この名前はそのまま中国語になり、調べてはいないが、あるいは他の多くの同時代の語彙と同じく日本から中国への輸出した言葉の一例に数えられるだろう。

あらためて花の名前を吟味すれば、「忘れな」との言い方はかなり妙だと気づかされる。古文の文法では解釈できない。原語との意味の上での交渉から考えれば、あくまでも「忘れるな」とのことだろう。はたしてその通り、一部の参考書などでは「忘るな草」との記述が見られる。そのような規則正しい言い方から変化していまの名前にたどり着いたのだろうか。

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