数日まえ、東洋文庫から恵送してくださった貴重な資料が届いた。『岩崎文庫貴重書書誌解題』、そのVIII、IX、X。今度も、春先の郵便の滞りからの影響をもろに受けて、投函の日付を見ると、三か月半もさきのことだった。
まっさきに開いたのは、「東洋文庫絵本コレクション」と副題がついたVIIIだった。絵のある文献だけで473頁もの解題になるのだと、意外な気持ちを覚えた。だが、カタログのつもりで取り掛かったら、嬉しい誤解だった。期待をはるかに超えて、カラーや白黒の写真による対象作品のハイライトや詳細な書誌解題に加えて、『いは屋』、『いはや』などの十九の作について丁寧な翻刻まで施されたのだった。考えてみれば、関連の研究者がこの一冊までたどり着くには、ちょっとした工夫が必要となるだろう。それはさておくとして、じつに良心的で、上質な研究成果なのだ。
これに引かれて、あらためて東洋文庫の公式サイトを覗いた。同サイトの構成の重要な一部には、「東洋文庫リポジトリ」があって、直前年度の『東洋学報』を含め、かなりの研究成果が公開されている。ただ、すでに十と数えるこの解題シリーズのデジタル公開は、つい見つかっていない。
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