新学期が始まった。今学期の担当は、二科目、その一つは「日本語古文の基礎」。大学の教室でこれを打ち出すことには、これまでなんとなく躊躇してきた。しかしながら、まったく初めてでもない。いまの勤務校に務めるまえ、一年かけて教えた経験をもっている。あまりにも昔のことになってしまった。
いうまでもなく、古文にはずっと関心を持ってきている。教える機会に恵まれなくても、なんらかの形で関わりを持ちたいという努力は、つねに怠らなかった。その一つは、「インターネット古文講座」と名乗る特設ページの作成である。このブログの右側に、最初から「Kobun On-line」として出している。タイトルは英語でも、内容はすべて日本語だ。ただ、検索をかけてみたら、ブログの本文でけっきょく一度も触れていない。ブログを始めるだいぶ前にすでに公開していたからだろう。いまになっては、公開の確実な日にちも分からない。ただ、共同制作者と二人でドイツでの学会で発表したのが2001年8月との記録が残っている(ICAS 2--International Convention of Asia Scholars)。実際の作業は九十年代の終わりあたりだったに違いない。サイトには、文法の解説に留まらず、すべて項目について、正誤を判断してくれるドリルを用意した。JAVAコードをすこしずつ模索しながら書き出したオリジナルものである。学習者入力を取り入れ、しかもそれを普通のブラウザで実現し、いまだにタブレットでもスマホでも利用できる。古文の教え方としても、技術設計としても、いささか自慢なのだ。
日本語古文というテーマは、はたして普通の学習者からの関心が得られるのか、はなはだ心もとない。だが、実際に教室に行ってみると、受講者人数は、期待を大きく上回った。学習の理由を聞いても、「面白そうだから」、「日本語のレベルをあげたいから」など、教師の心をくすぶる答えがけっこう戻ってきた。どうやら難しいテーマは、熱心な学生を選んだらしい。ちょっと予想できなかった。
Kobun On-line
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