2019年1月1日火曜日

亥歳賀正

謹賀新年。

暦の上で亥の年に入った。去年に引き続き、干支がテーマとなる「十二類絵巻」のことがまず思いに浮かんできた。十二の干支がほぼ平等にビジュアル的に描かれ、猪もしっかりとスポットライトを確保した。そして他の動物に違わず饒舌に語る。そのセリフといえば、「にくしひと、かけゝゝ候はゝや」、「この山のいもは、ほりもとめて候」と、ツッツキや辺りを振り向かないで猛進するものとして、その生態が捉えられている。言葉こそ形に結ばれていないが、まさに「獅子奮迅」である。あるいは、突進する猪のイメージから、ネガティブな要素をいっさい取り払った、思いっきり耳障りの良い表現が「奮迅」に集約されたと言うべきだろうか。

数えてみれば、留学生だったころ、日本で暮らして迎えた最初のお正月はまさに亥の年だった。干支の亥は「ブタ」ではなくて「イノシシ」だと知らされ、中国語の感覚からすれば、ブタの一種に過ぎないイノシシがブタの座に座ったものだと、まったくしっくり来ない感じはかなり長く続いた。ずいぶん昔のことになるが、昨日のことのように思いに残っている。ちなみにブタだと、奮迅というわけには行かず、中国でのそれは、裕福の象徴として富や財産への思いをこの干支に託したのだった。目出たいことである。

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