インターネットで繋いだ遠隔授業は、今年もさせてもらった。専修大学が設けてくれたこの行事は、数えてみれば2011年にはじめて招かれ(「スカイプ授業」)、それからほぼ毎年のように続いてきた。せっかくの機会なので、つとめて同じ内容を繰り返さない方針を取り、今年の講義では、「十二類合戦絵巻」を取り出した。
一時間半の授業では、半分の時間は事前に用意した録画を再生し、残りの半分は質疑応答という方法を取った。聴講してくれたのは、日本の古典文学に関心を持つ一年生が中心だった。考えてみれば大学に入ってわずか数か月しか経っていないのに、しっかりと大学生の振る舞いを身に付いたように見える。マイクやカメラが設置された講壇前に出てきて質問をしてもらう段取りになっていたが、最初から最後までスムーズに進行できた。問われた質問も、印象に残ったものが多かった。「判者はどうして鹿なのか」、「鹿や狸にも言葉遊びがあったのか」、「狸はなぜ鬼になろうとしたのか」など単純なものから、「この絵巻、だれが見たのか」、「構図には名作からの受け継ぎがあったとすれば、文章にも受け継ぎがあったのか」、などなど。とりわけ後者のほうには、つい説明に力が入った。
今度の授業の内容は、去年の秋のシンポジウムでの発表を踏まえた(「ノン・ヒューマン」)。ただ、若い学生が対象なので、「まんが訳」をめぐる考えや実例にまで議論を展開した。写真は、配布資料からの一コマである。
2019年7月20日土曜日
ネット授業2019
Labels: 絵巻を愉しむ
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