2011年10月16日日曜日

スカイプ授業

東京のある大学に招かれて、スカイプを用いての講義をさせてもらった。とても貴重な経験だった。今学期は御草子を読んでいるという大勢の学生たちを相手に、御伽草の絵そのものを読むということをテーマにした。日常の講義などではとても出来ないことなので、講義する自分もかなりの興味を覚えた。選んだテーマは、出産。在学中の大学生には、やや重いテーマではないかと危惧していたが、総じて好意に受け止めてくれた。授業のあとに回収したコメントには、「身近なもの」とまで記した学生は何人もいて、ほっとした

短いクラスで意図的にうち出したコンセプトは、あくまでも絵をじっくり見ようというものだった。絵巻を読む立場からすれば、至って当たり前のものだが、若い学生たちにはこのようなアプローチが浸透するまでにはいまだかなりの道のりがあるものだと感じた。そもそも話が出産となれば、それが不浄で穢れたもので、払いをもって立ち向かうべき対象だと、どうやら高校の時から一つの文化的な理解として教わってきて、それをまるで一つの常識として身に付けてきた若者がかなりいた。そのような安易な主張にすこしでも懐疑を持たせ、人生の大きな一環への地道な営為にもっと目を向けるようにと、ちょっとでも手伝えたらと願った。

技術的なことを簡単に書き留めておこう。主催校のこれまでの経験から、三十分程度の録画を前もって作成しておくとのことを要求した。それに応えて、あまり大きなサイズにならないように、数十枚の画像を、パワーポイントと同等の要領で、800x600ドットのサイズに落として、それを説明する録音にあわせて、ムービーメーカーにかけた。いま時のHD動画ファイル(1920×1080)には遠く及ばないものだが、大きなスクリーンに映し出しても、それなりに見るに耐えられるもので、しかも学生たちからは「鮮明だ」とのコメントを多数寄せられた。あるいはYouTubeの動画をスマフォンで見ている日常には、たしかに十分なビジュアルな伝達力を持つものだったかもしれない。

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