2011年10月23日日曜日

国会図書館電子資料の新公開

111023国会図書館公式サイトの記述によれば、さる18日、「デジタル化資料(貴重書等)」において新たに3万5千冊を超える貴重書資料典籍がデジタル化され、公開された。同時にさらに1万5千冊の資料がデジタル化されたが、一般公開ではなく、図書館を訪ねての利用のみとなっている。新たな公開が加わった同サイトは、検索の機能が設けられ、デジタル資料もとても高画質をとり、独立したJPGファイルのフォーマットまで用意されている。あえていうなら、一歩さきに公開され、すでに大きな反響を呼び起こしている「近代デジタルライブラリー」と比較すれば、アクセスは格段に分かりやすくて使いやすい。

公開資料はあまりにも多く、これからじっくり探検を試みなければならない。短く資料名などをクリックして覗いた印象から言えば、資料の内容も、それを選択し、公開に提供する方法も、きわめて図書館的なものだ。公開の仕方も資料のタイトルも、その数が圧倒的に多くて、量、質ともの一流のものでありながら、一方ではどこかに素っ気なくて、自己主張をしない。ユーザーに使い方を説教するのではなく、むしろ逆にどこまで使えこなせるものかと無言の挑戦を挑んでいるかのようだ。そういう意味では、あるいは提供された資料の活用と、その価値の発見は、日常的に研究活動を続けている研究者の責務の一つになるのかもしれない。公開された資料の中に、すでに研究対象としてとりあつかった研究成果、纏まりのある研究の依拠、美術館などでの展示記録、出版史などを説く入門書や辞書の実例、などなど、そういった情報はぜひとも必要で、それが加えられる方法(可能性)が得られたい。

ちなみに公開資料の目録を眺めていて、中国文献の多いことにいささか驚き、あらためて中国と日本との交流の歴史を思い出された。中国や日本の研究者に止まらず、漢字文化圏の関心あるすべての人々にこの新たなデジタル公開を知ってもらいたい。

電子図書館「デジタル化資料(貴重書等)

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