2022年4月2日土曜日

電子テキスト

東京大学史料編纂所の「大日本史料総合データベース」が公開されたのはいつごろだったのだろうか。サイトには「©2011」とあるだけで、特別に記録されていない。感覚としてはそれよりもっと早い時期だったはずだ。最初にアクセスして、検索して得たデータが印刷書物の紙面と連動していたことにすっかり驚き、贅沢な作りになっている、電子テキストのあるべき姿だと感じた印象は覚えている。

そもそも古典籍に関する電子テキストは、そのほとんどが紙媒体から内容を受け継ぎ、それを根拠としている。一方では、そのようなテキストは、文字フォント、行間、段落、ページレイアウトなど、紙媒体の情報を多く切り捨てた。電子テキストは、そもそもなんのためにあるのか。あの有名な「青空文庫」は、作品をパソコンで閲覧することから出発したとたしかに制作者たちが振り返る。でも、「大日本史料」などの典籍となると、閲覧のためとはとても思えない。まず考えられるのは、ピンポイントの検索だろう。そんなところに紙媒体の情報まで同時にアクセスできるものなら、利用者としては安心して使えて、なによりも有難い。ちなみに「ジャパンナレッジ」は、収録の全集叢書などについて紙面の情報を掲載し、同じ方向の努力であり、同じ需要への対応だと言えよう。

そのような中で、国立国会図書館の「次世代デジタルライブラリー」が現われた。いまのところ、まだ正確度などにおいて問題が多く、アクセスの方法もけっして親切だとは言えない。ただ、電子テキストの生成やその規模において、まさに次世代的なものなのだ。電子テキストと紙媒体との関連においても、まったく新しい可能性が示されていると強調したい。

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