今週話題になった新たなデジタル資源には、国立歴史民俗博物館が公開した「日本の中世文書WEB」がある。公開の日づけは1月8日、下知状や綸旨、起請文など8点の資料が掲載されている。
このサイトが提供したユニークな機能は、文書の読み上げ機能、説明にある「(略)音声を再生すると、カラオケ式に読んでいる部分の色が変わ」るというものである。平安や中世の古文書は、資料自身の性格から、どうしても狭い専門の分野に属し、普通の読者には近づきがたい。歴史を専攻する学生にとって必須の訓練にはなるが、そこから一歩でも離れた読み手には、なかなか手につかない。古文書をめぐる読み下しの法則、読解の仕方などをテーマにする参考書は、初心者のための入門書から膨大な用例を網羅する辞書まで、数えきれないほど刊行されてはいるが、そのような知識に丁寧に従っていても、いざ声に出して伝えようとすれば、どうしてももどかしくて、心もとない。そういう意味で、音声を伴うサンプル資料の出現のおかげで、中世の文書が大いに身近なものに感じさせてくれた。
このサイトの作成は、企画展示「 日本の中世文書―機能と形と国際比較―」の成果だと説明され、かつ資料の内容も「今後も続々追加予定」と予告されている。一方では、オリジナルに開発されたサイト構築は、一つのプラットフォームとして利用できるようになれば、より広い範囲の資料などが音声とともに紹介されるのではないかと想像している。可能であれば、実現してほしい。
日本の中世文書WEB
2020年1月11日土曜日
中世文書WEB
Labels: マルチメディア
2019年12月31日火曜日
庚子歳賀正
謹賀新年。
子の年を迎えた。今年は近年あまり見ない暖冬で、クリスマスも年越しも昼は気温がプラスになったぐらいだ。毎年のように「紅白歌合戦」を眺め、ゆっくりと流れる時間に楽しんでいる。
新しい干支を古い絵に求めたくなる。前回の子の年は、たしか「絵師草子」に登場した鼠をあれこれとトレースしたのを覚えている。「十二類絵巻」にも擬人した鼠がかなり登場したものだ。一方では、擬人した鼠、それも干支に関連して年末年始を飾るものは、浮世絵では大きなテーマとなっている。あれこれとデジタル公開したものをクリックしてアクセスし、画題や説明などを読みながら遠い昔の年越しに思いを馳せた。そしていつくか選んで、右のような寄せ集めの一枚を仕上げ、庚子歳賀正の絵にした。
デジタル浮世絵のリソースはかなり公開されている。中でも立命館大学アートリサーチセンターが運営している「ARC浮世絵ポータルデータベース」は、規模が大きくて、研究利用への考慮が行き届いて使いやすい。今度利用した画像は、すべて同じデーターベースから取得した。参考にリンクを添えておく。
「猫鼠合戦・菓子袋」/ 「道外十二支・子」/「家内安全十二支之図」/ 「道外十二支・甲子の鼡」/「猫鼠合戦・鮑の飯」
Labels: つれづれの日々
2019年12月28日土曜日
四コマGIF
数週間まえ、「元祖四コマ」を書いた。同じ注釈書からは、さらに似たのを三例ほど見つけ出し、あわせてGIF動画にして公開した。一方では、たとえ四つのコマにわける作りになっていない注釈絵に対しても、「四コマ」とは一つの読み方として大いに応用できるものだと気づいた。いわゆる「起承転結」の記述法だ。一枚の絵でもこの読み方に十分応えられる場合もある。
このような読み方を伝えるためには、GIF動画は有効な方法だ。動画作りの手順はほぼつぎの通りである。まずは注釈絵のサイズを揃え、必要な部分を切り取り、あるいはハイライトを与える箇所を確認する。ストーリーの伝え方をすべて四つにまとめ、原文記述のとおりに並べる。絵が対応する原文を抜き出し、それにあわせて現代語を添える。ただいわゆる原文の訳ではなく、読みやすい、要点や語感を強調したい、じゃっかん言葉遊びも試みたいなどと、やや強めの言葉に置き換えたりした。完成したものはGIF動画だから、終わりなくループし、いつまでも眺められる。いうまでもなく、味わってもらいたいのは、あくまでも兼好ワールド、その独特な語り口や心地よい文章のリズムこそ最大の魅力だ。その上、江戸の絵注釈が経験した苦労や到達した境地を思い出してもらい、知ってもらいたい。
ちなみにGIF制作そのものは、手軽に仕上げることを求め、過剰な視覚効果を狙わない方針を取った。文字情報や絵へのハイライトなどを制作する道具はPPT、複数の画像をGIFに結合するソフトはGiam、最小限の作業で統一感のある動画を仕上げることを心がけた。
Labels: マルチメディア
2019年12月21日土曜日
デジタル大掃除
世の中は、年末年始に突入している。年末と言えば大掃除。パソコンの中に溜まっているさまざまなファイルの整理も間違いなく中の一つであり、たとえ大掛かりな作業ではなくて、小さくて細かなものでも確実に時間を喰い、細心の対応をしないとあとはややこしい。その中の一つをメモしておこう。
大学のサーバーに個人のサイトを開設している。最初の公開日にちを書き止めていないことは残念としか言いようがないが、確実に20年以上は続いてきた。一番単純なHTML書式で仕上げたそれは、いまでもほぼ最初の形で稼働している。この事自体、はたして自慢すべきだろうか、それとも恥ずかしと思うべきだろうか。いずれにしてもサーバー管理側の立場からすれば、きっとやりきれない、多大な無理を押して対応しているほかはなかろう。
そのようなサイトの手入れも、したがってできるだけサーバの関係者に邪魔をしないで自力で対応するように心に決めた。今度とりわけ苦労したのは、更新したいファイルを取得し、それの編集結果をあらためてサーバーにあげるための、自宅のパソコンと大学のサーバーとの交信手段の確定だった。なにせ二年ちかく触っていないから、交信手段の更新状態はまったく分からず、あれこれと調べなければならない。結果としては、「forticlient」を取得し、それを稼働させたうえで「SSH」を使ってファイルのやり取りをするというものである。プロセスとしては、大学での利用者アカウントとパスワードを数回入力し、あとは大学サーバー専用のアドレスにアクセスするのみだった。関連の情報は、VPNの設定をふくめて、だれでも分かるように纏められてはいるが、その情報自体はいろいろなところに散らばっていて、それぞれのルートでたどり着くことは、かなりの回り道をさせられた。
振り返ったら、前回これと似たような作業をしたのはたしか一昨年の春であった(「文字化け」)。あまりにも怠慢だと言わざるをえない。だが、このような感じでので維持は、しばらくは続きそうだ。
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