2019年3月3日日曜日

花押

花押、とりわけ中世の権力者たちによるそれについて、ずっとある種の魅力を感じている。このブログでも、かつて中国の皇帝の使用例を持ち出して議論してみた(「花押と画押」)。真正面から取り掛かる知識を持ち合わせていないことを自覚しながらも、ときどき思い出すテーマである。

いうまでもなく、花押とは大きな分野だ。関連書籍の目録を見ても、大型な辞書からさまざまな読者を想定した入門書、解説書などは、本棚の一段を簡単に埋めてしまう。それらを開いてみれば、花押を作り出す方法、組み合わされた文字、ひいては使用者の時期の特定など、膨大な知識が蓄積されている。手書きで元となる文字の分解してみせる試みまで見られる。しかもこのような視線は、江戸の学者にまで遡れる。一方では、あくまでも花押そのものの形に着眼すれば、その書き方をどこまで再現することが可能だろうか、かならずしも共通の関心にはなっていない模様だ。

世の中はデジタル環境の恵みを受けて移り変わっている。花押を読み解く課題にしても、「花押カードデータベース」(東京大学史料編纂所)という素晴らしいものがクリック一つでパソコンの画面に飛び出してくる。複数の実例を並べておくと、花押の書き方を可視化することが確実にできるような気がしてならない。(写真は足利家時の花押から)

花押カードデータベース

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