2019年11月16日土曜日

復讐する男と女の物語

ここしばらくの間、あらためて黄表紙「敵討義女英」に集中した。三年ほど前、全作を朗読し、音声にあわせて原文を示す朗読動画を試作して公開した。今度は読み物の形態を取り、原文の上に活字のテキストを配置し、さらに現代語訳やコラムなどを加えた小冊子に仕上げた。違う公開のルートを試そうと、キンドル出版を選んだ。さいわい要領の良い無料サンプルが自動的に作成され、かつキンドル読み放題の対象にもなっているので、多くの読者に届けられているもようだ。

作品タイトルの訳し方に少なからずに迷った。原文通りの内容ならば、「敵討ち・素晴らしい女性・花の一番輝かしいところ」といったところだろうか。そっくりそのまま訳そうと思えば、出来ないこともない。最初に思いついたのは、「敵討ち女の物語」。「敵討ち」は、現代日本語でも使われているとは言え、原文との違いを明らかにして「復讐」に置き換え、「復讐する女の物語」、さらに「はなぶさ」も入れて、「あっぱれ女、復讐する物語」とも考えた。ただ、物語の中で、敵討ちをするのはあくまでも男の岩次郎であって、小春は敵討ちに巻き添えられたに過ぎない。最終的には男と女と両方入れた。その結果、原文のタイトルと離れてしまったが、読んでがっかりさせないために、こちらの方がかえって誤解が少ないかもしれない。

一方では、英語のタイトルは、すんなりと決まった。「Tale of Revenge: A Real Heroine」。全作を英語に訳すと言うことも必要だろうが、これには実力がまったくついていない。誰かがやってくれることを待ち望んでいる。

「復讐する男と女の物語」(キンドル・日本キンドル・カナダ

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