2020年1月25日土曜日

百鼠図

中国の暦では、今日の日付をもって子の歳が始まった。「春節」とよばれる新たな一年の始まりは、中国国内の最大の祝日であり、いまや世界でも広く知られ、祝福の言葉が交わされるようになった。一方では、干支の文字は古風な言い回しに止まり、普段の表現としては、あくまでも「鼠」である。

鼠の年を迎えて、それをめでたく寿ぐ方法は、さまざまと案出され、楽しまれている。中では、ちょっと思いよらないものもある。たとえば、「百鼠図」。写真はその一例である。百の図と名乗り、同じ文字の異なる字形を百と集め、それを丁寧に書き並べるというのは、予想以上に長い伝統を持つ。その中で一番有名なのは、寿の文字を集めたものがあげられよう。清の文人の記録によれば、宋の時代にすでにそのような作品があり、しかも岩に刻まれたと伝わる(銭曾『読書敏求記』)。あとは「福」「禄」などの文字もよく書かれる。ここにいう百の違う字形は、古い篆書の恰好をしている。実際に伝わる象形文字、金石文字などの実例を寄せ集めたのが中心になるが、一方では楷書や行書の字形、ひいては文様パターンなどまで取り入れてのオリジナル字形も創出され、用いられている。これも同じく右の実例を眺めればすぐ分かることだ。

それにしても、鼠の文字を一面に書かれたものをどこかの壁に掲げて飾ることは、想像してちょっぴり落ち着かない。あくまでも廻ってくる新しい春を祝う一種の遊びだと、書く人も賞でる人もそう思っていることだろう。

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