2022年1月22日土曜日

縦書き右へ

『文字の知画』を読んでいて、まるで謎解きの経験をした。十丁オを読み進んだところ、文章は通じるようで通じない。かなり困ったところ、ぱっと答えが現われた。なんと縦書きの文章は、突然のように左から右へと一行また一行と展開されたのだった。

絵によって出来上がった二つの離れた空間を埋める文章である。上の部が左いっぱいまで来たら、下の部でどう続けるのだろうか。この一冊ではこのような状況が何回となくあって、ここまではずっと「▼」「▲」の記号をそれぞれの終わりと始めに置くことによってその繋がりを示してきた。分かりやすい。そんなところへ、ここの文章となって、なんと方向逆転の対応を仕掛けてきたのだ。大胆というか、無茶というか。思い切って肩をもってあげるとすれば、もともと絵も内容も、そしてそもそも文字そのものを対象に遊びや戯れをいっぱい施し与えた書物だから、ここへきて文章のレイアウトにまで手を加え、それを弄ってしまった、といったノリだろうか。

縦書き右へ。このようなレイアウトは、はたしてどのような書籍に姿を見せたのか。そこには著者や版元のどのような気持ちが隠され、読者との間でなんのキャッチボールが行われたのか、知りたいものだ。

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