2012年11月10日土曜日

能入門

121110今週の講義テーマの一つには、能があった。23人の学生を相手に、「生田敦盛」をとりあげ、英訳と原典の両方をいっしょに読んでみた。ほとんどの学生には、このストーリも、そして能という演劇も初めての経験であり、どのような反応が戻ってくるのやら、楽しみの一つだった。能舞台や面などの説明を最小限にし、印象に残るような、インパクトのあるものに集中するように心がけた。講義でストーリの説明には慶應大学所蔵の絵巻「小敦盛」の画像を取り出し、そして学生のグループ発表では動画を二つ上演された。ほとんどの学生は、前のめりになってスクリーンを見つめ、質問もたくさん飛び交った。

それにしても、学生グループの動画選びは上手だった。上演は計5分程度の時間しか使わなかったが、英語の説明が施された能の説明、囃子まで外国人編成による「敦盛」の舞台のハイライトが選ばれ、しかも最後にちらっと外国での舞台なので鏡板には松がないことをしっかり指摘しておいた。外国人相手に作成された能紹介の動画は、BGMの音楽や、ハイライトの囃子が慎重に用いられ、伝統芸能でも編集によってこうもモダン的なものになるものだと感心した。そのせいもあってか、普段あまり発言しなかった学生は、手をあげて日本留学の経験に触れて、留学先では講師が実際に教室で謡いを披露してくれて、周りの学生たちがみな居眠り状態に入ったという思い出を語り出した。いうまでもなくほかの学生たちは一様に神妙な表情だった。

ちなみにクラスで使用した画像は電子公開をされているもので、サイトへのアクセス方法まで実際にやって見せた。一方の学生たちの動画は、当然なようにYouTubeからだった。質の高い電子リソースはここまで使いやすいものなったと改めて実感した。

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