2015年9月5日土曜日

動く絵

すでに気づいた人が多いだろうが、インターネットで公開されている写真の中には、いつの間にか動くものが驚くぐらいのスピードで増えている。新製品の説明から、他愛のない笑いにいたるまで幅広く作成され、関心のある内容だと、ついつい見つめてしまい、文字解説以上の説得力に注意を奪われてしまう。

絵が動くと言っても、複数の写真を順番に見せるという意味で動画と原理がまったく同じだ。音声を対象としないという単純な前提に立ち、情報のチャンネルを一つ閉じることにより、動画との差を作り出す結果ともなった。動く絵の作りかたはいたって簡単だ。とにもかくにも複数の写真を用意すれば条件が十分に整う。しばらく前までは、これ専用のソフトがあれこれと開発されて使い較べれなければならなかったが、いまやほとんどオンラインの方法で用を満たすことができる。しかもすでに存在している動画にさえ対応していて、ビデオ撮影した動画を取り入れたらそのまま動く絵と変換されてしまう。出来上がったファイルのフォーマットはいわゆるGIF、その手軽さゆえに一つのスタンダードとなった。

20150905遊び半分に絵巻から一画面を取り出してみた。「長谷雄草紙」から双六対決という、眼目となるあの場面だ。適宜にパーツを切り出してずれた位置に貼り付け、そうやって出来た複数の絵をまとめれば結果達成であり、ほんの数分間だけの作業だ。用いたサイトの名前は、「gifmaker.me」。古典の絵に、勝手な動きが加えられたら鑑賞の邪魔になるという批判は、大いにありうるだろう。ただ逆に言えば、見せたいところがよりはっきりとなったとなれば、表現としてこれ以上明快な方法はないとも言えるのではなかろうか。

メモ:「絵巻詞書集」には、「枕草子絵詞」、「長谷雄草紙」、「絵師草紙」など五タイトルを付け加えた。

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