2015年12月5日土曜日

カメラとレンズ

日常的に読んでいるサイトにもよるけど、感覚的にはデジタル関連の新技術を取り上げる記事が多い。その中には、宣伝や広告代わりのものもけっして珍しくなく、ほとんどの時は読み流している。一方では、想像にも及ばない、不思議にワクワクさせてくれるものも確かにある。今週に出会ったそのような記事の一つは、「FlatCam(平らなカメラ」というものがあった。

20151205アメリカの大学の研究室から報告されたこの新技術だが、簡単に言えば画像を記録することを目的とするカメラから、レンズというものを取り除き、それの代わりになるものを提案している。その代わりのものとは、いわば電子のマスクなのだ。画像情報を焦点に投影するというレンズの原理を廃止し、これをフラットな平面において読み取り、その結果を電子的な計算によって解析し、電子信号で記録し、さらにディスプレイに再現する。どうやらただの着想には止まらず、このアプローチの可能性がすでに実証され、しかもこれを報告する動画においてかなり鮮明な画像が記録されたことが実演されている。

平らなカメラには、現実的な目的や効用において、さほど革命的なことが起こるわけでもなさそうだ。画像を一点通過ではなくて、面で読み取るがために、物理的にサイズをもつレンズが不要になり、記録機械が薄くなる可能性が生まれるとか。そのような現実的な用途よりも、ここまで既成の概念となっているものまで再定義することには、その発想の自由さや、長い歴史に挑戦する勇気を感じ取り、感動するぐらいだ。ただ、そもそもレンズまでなければ、カメラという名前まで変える必要があるのではなかろうか。

FlatCam

0 件のコメント: