2016年8月13日土曜日

ドイツ初期銅版画

短い日本訪問が終わり、昨日無事帰宅した。東京にいる最終日には、時間のやりくりをして、上野周辺を歩き、世界遺産ということでずいぶんと話題になった西洋美術館の中に入った。企画展として、メッケネムという、これまでにはまったく知識になかった名前とその作品群を取り上げている。駆け足で見て回った。

銅版画は、これまで翻訳されたヨーロッパ作品などであれこれと見たことがあって、西洋的なものだという印象をもつ。しかしながら、展示されたものに目を凝らしてみれば、まずはそのサイズが小さいことに意外を覚えた。あえて言えば、平均的にはあの浮世絵の半分以下だろうか。もちろん色は白黒である。西洋絵画を汲み、絵にはたしかに影があるが、それも申し訳程度で、とても写実的な油絵の比較にはならず、見るものには相当な想像力が要求されるものである。展示企画のアプローチとして、聖と俗の対立を打ち出したが、作品の内容からすれば、あきらかに前者のほうが充実している。宗教のエピソードなどは繰り返し表現されたのに対して、世俗を題材にしたものはきわめて数少ない。「挿絵」という言葉はおそらく典型的なヨーロッパの出版様式に属するものであり、それをぴったりと具体化したのは、ほかでもなく銅版画だったという認識を新たにした。

西洋美術館も、おなじく常設展なら写真撮影が可能となっている。常設展のホールでは、多くの人々が携帯電話を絵に向けている。照明は、あくまでも普通形蛍光灯。カメラにはまったく不親切な環境だが、それでも一通り記録を残すためにシャッターを押した。

聖なるもの、俗なるもの

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