2016年10月15日土曜日

学会旅行

この一週間は、もっぱら学会参加のために時間を費やした。普段なら、大学講義が続いている間には遠慮してとても実行しづらいものだが、連休に重なるという幸運にも恵まれ、学期が始まるまえから慎重にスケジュール組み合わせのやりくりをし、思いっきり行動に移った。そのため、日曜日の出発で京都で四泊し、その足で途中下車ならぬ「降機」の形でさらにバンクーバーで二泊した。

数えてみれば、学会の会場に朝から晩まで座り続けたのはあわせて五日。時差も十五時間と二時間という中で、意外とまったく疲れを覚えていない。いうまでもなくすべて刺激の多い研究発表のかずかずのおかげだと言わなければならない。はっきりと記憶に残るものを取り上げてみても、絵巻の構図を析出してそのままマンガ作りに応用する試み、映画撮影にあたっての具体的な記憶と個人史、社会の移り変わりの中での女性の地位とその変化、戦争テーマの商業映画にみる記憶作りと社会道徳の形成、アメリカでの日系移民たちのローカルな言語と語彙、などなど、じつに多彩なものなのがあった。いつもながら学会に出かけるということは、さまざまな流動する考え方に接し、研究現場にこだまするなまの声や切実な苦労を交流し、語り合うことに醍醐味がある。この一週間もまさにその通りのもので、数えきれない会話を通じて旧交を温め、新しい出会い恵まれた。一方では、立派な業績を持っていながらも、研究者としての発言の仕方をしようとしない、これまでには経験したことのないような方と質疑応答の形で対話を交し、個人的に見識を広めることができた。

二番目の発表は、旅の連続という理由もあって特別に調整してもらい、学会のほぼ最終の時間台に組まれている。その結果、最初の学会は一番乗り、二番目の学会は終盤を待つというユニークな結果になっている。そのいずれの場合においても、それぞれの形で楽しんでいる。

「大衆文化の通時的・国際的研究による新しい日本像の創出」キックオフミーティング
Globalizing Japan

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