2017年3月11日土曜日

日本語弁論大会

毎年のことだが、いまの時期は学生を巻き込む行事が多い。中でも、個人的に関わったことだけでも二十回以上数える日本語弁論大会は、先週の週末に開かれた。今年の開催地は、北へ三百キロ離れた州都の町。大型バスをチャーターして乗り込み、日帰りで集中的に参加してきた。

学生たちは、学習歴にあわせて、3分から5分の自由テーマのスピーチを用意して披露する、というのがこの行事のスタイルである。語学力が限られるなか、じつに多彩なスピーチが語られたものである。遠く離れた故郷の風景、新たに覚えた日本語の表現から得た思考、外国体験の記憶、カナダに移り住む移民としての経験と苦悩、どれも真摯な話ばかりである。中でも、直接に教えた学生の一人の話には、とりわけ思いに残るものがあった。前学期、現代文学のクラスで何気なくとある受賞小説のことを触れたが、学生はそれを探してきて実際に読んでいた。小説で取り上げられた現代日本の若者の気質をめぐり、個人的には腑に落ちないところがあり、たまたま秋の学会で講演をなさったかなり知名な学者に思い切って質問したことがある。そのあと、同じ学者は、「平等に貧しくなる」との考えを公にして、かなりの議論を巻き起こしている。さいわい、学生のスピーチは、日本とのつながりや日本への関心というかなり積極的で前向きな読み方を示したものであり、内心大きくほっとした。

弁論大会の様子を記してビデオを撮影し、それを大学の公式サイトで公開している。興味ある方は、ぜひ一度アクセスして見てください。

2017 Japanese Speech Contest Held

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