2017年3月18日土曜日

絵巻と漫画が出会う

すでに四年目になるが、職場の担当教員と力をあわせ、ささやかな日本文化シリーズと名乗るものを打ち出し、年一回、授業では扱いきれないものを取り出して語り聞かせている。絵巻に集中したいものだが、さほど予備知識を持っていない若者には、もうすこし取っ付きやすいとの想いから、つい漫画まで付け加えた。たどり着いたタイトルをそのまま日本語に訳したら、上記のものとなってしまう。

絵巻というものはけっして一纏めに括りがたいのと同様、漫画の内容も表現形態も多岐にわたり、全体像を概観するのは、考えようによっては遥かに難しい。読者それぞれの立ち位置や読書経験により、人それぞれの漫画像を持っていると言って良かろう。しかも英語圏に身を置いてみれば、英訳一つ取り出してみても、ページめくりから議論を始めなければならない。思えば気が遠くなるテーマだ。わたしの場合、平均的な北米の日本語学習者に向かってこれを語れば、まずつぎの二つの事実を触れておくことにしている。日本における漫画は、専門週刊誌の存在、単行本の値段、それにゴミ捨て場の様子などから分かるように、消費するものである。それから、成功した漫画は、紙媒体に止まらず、アニメ、ゲームなど隣接の媒体に越境するものである。この二つのことさえ気づいておけば、漫画を見る目は大きく変わるものだと言えよう。

週末にかけてパワーポイントの準備に取り掛かっている。今度は画像中心のレイアウトを試みた。さらに、絵巻の展開、漫画上のスポットライト、動く四コマと、違うタイプの動きを取り入れている。どこまで聴く人に伝わるものだろうか、楽しみだ。

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