この週の半分程度の時間は、CAJLE(カナダ日本語教育振興会)年次大会への参加に当てた。今度はホスト大学の役が廻ってきて、小さな所帯の日本語プログラムの教員や学生代表は、ほとんど総出での関わり様であり、わたしもサポートに走り回った。一方では、日本語教育の学会からはなぜか遠のいてしまい、久
しぶりにいろいろな発表を聞いて、大いに勉強になった。
研究発表のテーマは、じつに広い範囲を及び、問題提起の着想も、そしてアプローチの多様性も、教示に富むものが多かった。大会プログラムを閉じたまま、記憶に残ったものをランダムに書き出してみても、つぎのようなものがあった。外国語としての日本語教育における言語の規範主義への認識、そしてこれにかかわる母語話者の立ち位置、それの権威と盲点、日本語学習者の三タイプ(言語オタク、社交、アニメ)、日本語学習者の動機分類、語学とスポーツとの関係、アニメキャラなどの話し方とそれが日本語学習者に与える刺激、日本語における略語の成り立ち、などなど。なお、この学会の伝統として、いつも複数のワークショップを併設して、教育者としての会員たちの自覚向上や情報交換に努めている。今年のそれには、ペアになって互いに謝ったり、愛を言ったりするような芝居をさせて言葉への再認識を呼び起こし、あるいはインパクトのある言葉や身体言語の誤用例を説明するなど、さながら教室風景を再現したものだった。
テーマは語学教育ということから、教室活動を具体的に紹介し、あるいはそのような活動をうけての学生たちの反応を集め、しかもさっそく数値化して報告するような発表は多かった。言葉を習う学生と実際に接し、その学生たちの成長は目に見えて分かるものだから、このような実践的な議論が自然と関心を集めるようになったのだろう。研究分野が違うと、研究のアプローチがこうも違ってくることを、あらためて確認した気がした。
CAJLE 2017
2017年8月19日土曜日
CAJLE2017
Labels: 研究を語り合う
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