2019年5月4日土曜日

花押を動かす

ここ数日、「北条氏花押」と名乗り、動く花押を一日一点送り出している。基本的な考えについてこれまで数回記してきたのだが、それを実際に形にするためには、やはり時間が要る。幸い春コースの本格的な稼働までまだ二週間ほどあり、約束している二編の原稿は意外と早く書き上げたので、これに取り掛かった。かなり苦労したのは、やはり狙う道具にたどり着くまでの試行錯誤だった。

複雑な筆画を動きをもって表現するには、GIF動画しかない。「動画・変体仮名百語」で試した文字の上での描画という方法は、そのまま使えるが、やはりいま一つビジュアルなインパクトが物足りない。そこで、動画制作の模索が始まった。最初に見つかったのは、「Express Animate」というフリーソフト。かなりのところまで対応はしてくれているが、やはり制作プロセスは煩雑で、一つの文字を作るための時間が割に合わない。有料ソフトのうち、「Adobe After Effects」には筆画を表現する特化した機能が用意されていると知ってはいるが、一つのソフトは1GB、パッケージだと20GB、気が遠くなるようなサイズのものだ。ただ調べているうちに、勤務校が購入し、教師全員使用できると分かって、やはりこれを試すことにした。インストールするには、あれこれと困難があって、考えられないようなエラーが連発したが、最後はなんとか動いた。さすがに特化した機能であって、きちんと覚えてしまえば、あとは動画制作にさほど気を使うことなく、筆画の検証に注意を集中させることができた。道具の大切さをあらためて知らされた。

小動画はどれも4秒程度。専用のソフトが使えても、花押に対応させるには、Photoshopを使っての事前処理、そして、最後の仕上がりに「LICEcap」や「Giam」を駆使して、無料ソフトの出番を忘れていない。デジタルをいじる人なら、みんな経験しているような仕事の流儀だろうか。

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