2020年9月12日土曜日

寺の風景

ここカナダの町にも、お寺が数軒ある。その中の一つは、ダウンタウンのすぐ北側に位置し、建ったのはわずか20年前、建物ができた時のことは、わずかだが今でも印象に残っている。数日前、お寺の中を覗き、写真を数枚撮った。コロナの影響で週末しか開かないと、戸が閉ざされていた。

正殿の中には、それでもたくさんの光が灯され、供え物も結構な分量に捧げられている。普段訪ねると、お寺の管理に携わると思われる人の姿が常に確認できるが、袈裟を身にまとったような僧侶の姿は一度も見たことがない。入り口の前には立派な観音像や獅子像が鎮座する。ただ、庭と言われるほどの空間はなく、それらしい休憩の場所が用意されてはいるが、行き届いた手入れとは程遠い。どこか無愛想で投げやりな風景なのだ。あるいは僧侶の不在、修行する人間の欠落と関連することだろう。仏法僧という三宝の一つが抜けたら、それでもお寺と言えるのだろうか。

そもそもお寺の名前は、中国語では「居士林」とそれらしく聞こえても、英語訳となれば、「Indo-Chinese Buddhist Temple」。どうやら「インド」「中国」と入れないと十分に人々には伝わらない。仏教とこの土地との距離が極端に覗かせてくれている。 

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