2020年9月19日土曜日

弥兵衛鼠を読み直す

noteへの投稿は、三週間続いた。なにを、どのように書くか、正直いまだ方向性を見いだせないまま模索をしている。ただ、分かってきたことの一つには、写真や画像の掲載が簡単で、しかもみやすい、ということがある。投稿のレイアウトについてオプションが少ない分、全体のデザインは簡潔で、スマホやタブレットなどのデバイスへの対応がよく工夫されている。


今週取り上げたテーマは、『白鼠弥兵衛物語』(「
鼠のお話に耳を傾けよう」)。記録を見たら、このブログですでに四回ほど取り上げた。すべて「音読・白鼠弥兵衛物語」という特設サイトをめぐって生れたもので、しかもそこまでたどり着いたそもそもの理由は、干支が子の年だったからだ。そこで今年はまさに子の年、干支一回りが過ぎた。思えば、あのサイトを制作したころ、画像といえば白黒のコピーしかなく、それを取り出すことを早々あきらめ、文字情報を電子テキストにして、しかもそれを縦書きに表示することに力を入れた。けっこう苦労した。そのあと、あえて手入れをせず、これだけ時間が経っても、テキスト、縦書き、そして音声というコアな部分はまだ動いていることには、すなおに嬉しい。一方では、同じ系統の伝本は慶応大学図書館に所蔵され、かつて小さな画像でオンライン利用ができたが、いまは高精細のデジタル画像で、IIIFの規格を用いて公開されている。古典画像をめぐる環境の変化を実感しつつ、まだまだ十分に生かされているとは言えないことをあらためて思い返した。

なお、音読に選んだ底本は、フォッグ美術館に所蔵されている。かつてハーバード大学で開催されたシンポジウム(「The Artifact of Literature」)でこれをとりあげ、実際に底本に出会えないかと淡い希望を持っていた。叶えられなかった。資料調査や展示など、はたしてそのような機会がいつかめぐってくるのだろうか。

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