2021年2月20日土曜日

研究会で語る

一か月ほどまえに予告していた研究会(「古文講座」)は、予定通りに開催され、自分の発表も無事済んだ。世界各国から集まってくる参加者を見越して開催の時間設定が変則なもので、日本時間の深夜、こちらのローカルの時間は早朝六時開始といったスケジュールだった。事前申請は82名、実際の参加者は60名超、まさにリモートならではの世界的な集まりになった。

振り返ってみれば、じつに実りある交流だった。後半の全体討議においてまっさきに持ち出されたのは、古文教育の意味やその有効性だった。日本国内でも古典教育存続をめぐる議論が注目されるなか、それがそっくりそのまま海外中心の場にまで波及したという恰好になった。集まってきた研究者、教育者の顔ぶれによるところが多いが、肯定的な見解が圧倒的で、とりわけ教育現場から日本語学習者たちからの古文への熱い視線がしっかりと語られ、なによりだった。このほか、美術史など隣接分野からの声、漢文教育までの展開、独学への配慮、オンライン資料との向き方、朗読への関心、はてには三年も続くような本気度の高いプログラムの存在など、さまざまな情報や見解が披露され、まさに充実なものだった。

ZOOM開催の研究会は、開始15分前から参加者が参加できるように主催者が配慮した。互いに見知らない人が多いなか、「Kobun-Online」に関わった三人は二十年ぶりの顔合わせとなり、ひと時の雑談が交わされた。対面の集まりならこういう時間こそ貴重で生産的なものだが、リモートではきわめて限定的なものにならざるをえない。これをいかに変えるのか、模索が続く。

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