2021年12月4日土曜日

The Bus Stop

先週日曜日、ずいぶん久しぶりに劇場に入った。大学の演劇学科の学生たちによる小劇場で、キャンパスにある三つの劇場の中の一番小さい場所だった。すでに二か月以上も上演が続き、ほぼ終わりに近づていた。

演目は、ノーベル作家高行健の代表作「バス停」。発表は1983年だったから、学生時代にはたしかにどこかの雑誌で一度読んだはずだ。いまになったら、設定やテーマなどに朧げな印象があるだけで、詳細やハイライトなどはなにも覚えていない。ほとんど初対面の作のつもりで席に座り、一時間半の時間をしっかりと楽しめた。舞台に上がったのは、セリフを一言も発しない三人を含めて十一名、ここはカナダだからもちろん全編英語。ただし監督は非常に若い中国人の若者で、すべてのセリフに中国語の字幕が添えられた。劇場から出て原作を探し出して確認したら、けっこう忠実だった。わずかに登場の「学生」が習ったのが英語から中国語に変わり、雨と雹が降ったとある設定が観客の意表をついた本物の雨と雪となったぐらいだった。あとは、タバコの銘柄や将棋などの中国カラーを過剰に避けることなく、無国籍でいて妙に清々しい舞台に仕上げられた。

思えば、映画館、美術館、劇場などのない暮らしは二年以上も続いた。そんな中、ワクチン証明の提示を真剣に要求され、入場人数にも制限を掛けられていたが、あとは役者も観客も特別な反応を見せることなく、静かに昔の日常に戻ろうと言葉に出さずに努めたと見受けられた。

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