「ニコニコ動画」とは、いまやかなり認知されて、有意義な発表や交流の場となったことは知っている。しかしながら、ずっと動画と一定の距離を持ち続けてきたこともあり、その内容をじっくりと眺めたことはほとんどない。そんなところに、なんと「ニコ動」作者名に自分の名前が現われたのを知って、少なからずに驚いた。
作品のタイトルは、絵巻「蒙古襲来絵詞」そのものを掲げている。一年ほどまえ、この絵巻の詞書を全文朗読してウェブサイトに載せたのだが、その音声が用いられ、同じ作品の近世模写で、オンラインで素敵な形で公開されている画像に合わせて、動画に作りあげられたものである。このような作業をこなし、かつ情報の多い説明を添えて動画投稿サイトで公開しているのだから、制作者がかなりの苦労をかけたと想像できる。いうまでもなく、絵の出し方には、内容と関連をつけたスポットライトではなくて、ただ単に機械的にすこしずつ次へと移動するのみなど、議論しようと思えばいくらでも余地があるのだが、画像、音声に時間軸を加えて動画を仕上げるという試みは、大いに賛同したい。一方では、朗読者や絵の出自などをはっきりと記載したにもかかわらず、肝心の作業者本人の名前などは一切なくて、あくまでも匿名という形に貫く。これだけ作業をしたにもかかわらず、名前を明かそうとしないのは、はたしてどういう考慮から来るものだろうか。勝手に推測するのだが、なにか言われることかもしれないことへの予防策とでも考えていないのだろうか。そのような可能性が完全にないでもなかろうけど、少なくとも朗読を公開した私にはちょっと想像しづらい。わざわざオリジナル内容を制作し、公開した以上、それが異なる形で使われることも含めて、もちろん覚悟の上だ。いや、使われることは、作業が無駄ではなかったことの証であり、むしろ嬉しい。そう考えてみれば、そのような心配まで抱えながら作業に取り掛かったのかと想像して、なぜか余計に感心したものだった。
この動画には、すでに見た人のコメントが付いている。その中の一つは、「外人さんですか、wkwk」とあった。これまた初体験で、いわゆる「KY日本語」と現実的に出会った。ただ、調べなければそれを理解する知識を持ち合わさない。はたしてそれが「ワクワク」を意味するものだと知った。そうか、外人だから余分な関心を持たれるんだ。そうなれば、それも物ごとの一部だと言わなければならない。
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