グーグル地図では日本もふくめて古地図まで利用できるようになったという話題は、かなり前から聞いていた。すこしは余裕があって、ようやくそれを覗いてみることが出来た。精細な衛星写真データをベースに、鮮明な建物と青々とした自然、世界遺産やら観光やらの自然や社会生活の情報、そして歴史という時間の年輪まで含まれて、紙媒体の地図という概念を遥かに超えたもので、見ていて実に飽きない。
グーグル古地図は、Chromeなどのブラウザーからはアクセス出来ず、「グーグルアース」をまず入れておかなければならない。頻繁に更新を続けているこのサイズの大きいプログラムは、ずっと敬遠していたのだが、古地図のためならやむをえない。プログラムを起動して、手始めに京都を目指した。他の追加情報と同じく、古地図はレイヤという機能を通じて実現する。「ギャラリー」、「ラムゼイ歴史地図」と順に進み、あとは京都市を一覧できるぐらいにして、ようやく南東の端っこに専用のアイコンを確認できた。それをクリックして、一枚の古地図は京都の衛星画像にすっぽり被せるように現われた。用いられているのは、「新選増補京都大絵図」という、宝永六年(1709年)に刊行されたもので、古地図は、現在の地形にあわせて、記入された文字が問題なく読める程度慎重に調整を加えられ、地図全体の拡大・縮小や移動にスムーズに対応している。賀茂川、桂川、御所、そして東山の古刹群など、地図の上で三百年という時空が快適なぐらいに融合している。
一方では、圧倒的な情報量に比べて、さまざまな方向からの情報の付け出しという仕組みからの自然な結果だろうか、その使い方はあまりにも不親切で難解だ。古地図はレイヤの一つだと分かっていても、簡単にはたどり着かない。地図について二つの階層になる説明が施されているが、それは肝心の使い方に配慮していない。その結果、古地図レイヤを出したのは良かったが、それを除こうと思えば、レイヤを外しても古地図が残されたままで、あれこれと苦労してようやくまったく関係ない「場所」セクションの「保留」タグでそれを実現できたのだった。肝心な地図そのものは、カリフォルニア大学バークレー校図書館に所蔵されているものが用いられ、説明も英語のみである。これだけ魅力ある分野だから、日本の関連機関からの本気な参加を期待して止まない。
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